沖縄発ダンスボーカルユニット・WB(ダブルビー)が聞く、伝統芸能のあれこれ
伝統芸能って、難解!? 確かに知らない人や若い人にとっては、簡単に入りにくいかもしれません。でも知らないだけではもったいない。そんな想いを胸に、沖縄発、2人組ダンスボーカルユニット・WB(ダブルビー)のNANAMIとCANANの2人が、舞踊団・飛琉HARUでも活躍する、若手舞踊家の仲里綾香さんに伝統芸能について伺いました。
沖縄の伝統芸能案内スタート
NANAMI:こんにちは! 今日は沖縄の伝統芸能について勉強しに来ました。
CANAN:いろいろと教えてください。よろしくお願いします!
仲里綾香(以下、仲里):はい、こちらこそよろしくお願いします。
CANAN:まず、綾香さんはいつから伝統芸能に興味を持ったんですか!?
仲里:最初は小学1年生の頃。両親が結婚式で「かぎやで風(※沖縄本島で踊られる祝儀舞踊)」というのを踊らないといけなくなって、たまたま近所にいた先生のところに習いに行ってたんです。そしたら「子どもたちもやってみる?」ということになり、その結婚式で初舞台を踏んだんです。それからですね。
ー小学生で興味を持つって珍しいですね。
仲里:練習が終わったら先生がお菓子をくれるんですよ(笑)。だから、練習というよりは遊びに行ってたという感覚ですね。
CANAN:たしかにお菓子もらえたら行くかもしれない(笑)。
仲里:でも、本気でやろうと思ったのは大学に進学を決めてからでした。沖縄県立芸術大学の琉球芸能専攻に入学したんですよ。そこでいろんな人と交流することで、道場とはまた違った刺激があって楽しかったんです。ところで、WBの2人は伝統芸能って観たことありますか?
NANAMI:琉舞とか。
CANAN:琉舞って、琉球舞踊のこと?
NANAMI:なに? これって略なの? ずっと琉舞って言ってたから。
仲里:そうです、合ってますよ。木村拓哉=キムタクみたいなもの(笑)。
CANAN:わたしのおばあちゃんが琉舞を教えているんですよ。太鼓も叩くし、メイクもできるので。この間も福岡まで行ってたみたいです。
仲里:へえ、そうなんですね。
NANAMI:すごーい!
シンデレラが組踊で観られる!?
仲里:2人は、舞台を観に行ったことはある?
CANAN:まだ行ったことないんですよ。お稽古している姿は見ているけど、ちゃんと観たことがないです。
仲里:組踊は観たことある?
NANAMI:ないです。
CANAN:私は観たことあります。学校で1年に1度、芸術鑑賞会っていうのがあって、全校生徒で沖縄市民会館に観に行きました。
—そのときは、どう思いました!?
CANAN:わたしが今やってることとぜんぜん違うから、もっと動きたくならないのかなって思いました(笑)。でも鬼になるところは迫力が伝わったので「おおっ!」って感じでした。
NANAMI:私も観てみたいんですけど、何から観ればいいのかよくわからないんです。
仲里:知らなかったらそうだよね。例えば、「シンデレラ」って知ってるでしょ?
NANAMI:お姫様になるあのシンデレラですよね。
仲里:そうそう。あとは「桃太郎」とか、絵本の「スイミー」とか。
NANAMI:それは知ってます!
仲里:今、そういうお話を入門編の作品として、組踊にしたものを上演しているんですよ。
CANAN& NANAMI:それは面白そう!
NANAMI:「シンデレラ」のストーリーを、組踊で演じるということですよね?
仲里:そうそう。ここ数年でそういう作品がどんどん生まれてきているので、そこから組踊に入ればいいんじゃないかなと思います。今日来ている『国立劇場おきなわ』でも、よくやってますよ。堅苦しいのではなく、シンデレラのお姉さんとか、めちゃくちゃイバヤー(威張ってる人)なんですよ。「あなた仕事しなさい!」とか沖縄の言葉で言ったりいて。そんな風に、笑ってもいいんだ! とか、色々発見があると思います。
伝統芸能はファッションも重要?
仲里:あと、琉球舞踊も新しい創作のものがどんどん増えているので、そこから入ったらいいと思います。先生方によるクラシックなものももちろん重要なんですけど、若い世代がやってる舞台を見てもらったほうが、親しみが湧くと思うんです。「あの三線の人、イケメン!」とかね(笑)。
NANAMI:たしかに(笑)。
CANAN:女子的にはそこはポイントですね。
仲里:そんなことでもきっかけになるといいなと思います。女子的には衣装もきれいだから見どころですよ。
NANAMI:ファッションは大好きなので気になります。きれいな柄だしカラフルなのが好きだからすごく興味がありますね。形は着物だから落ち着いていて和な感じなんですけど、色はたくさん使われていてかわいいなって思います。
仲里:私は、舞踊で海外のフェスティバルに参加させて頂くこともあるんですけど、そうするといろんな国の衣装を見るし、そのことでコミュニケーションをとることも多いんですよ。そのなかでも、沖縄の衣装はすごく目立ちますよ。
NANAMI:おおーっ! 嬉しい!
仲里:琉装(沖縄の伝統的衣装)は自然染料を使っていたりするし、そういう意味でもセンスがいいなあって思いますね。あとは、三線の音色もインパクトがありますよ。音が鳴った瞬間に、外国の人はみんな振り向きますね。
NANAMI:三線はかっこいいですよね。三線は音楽の授業でも習いました!
古典は個性を消さないといけないもの
—WBも仲里さんも形は違えど、同じ舞台に立つ者同士ですが、舞踊の世界には、どのような特徴がありますか?
仲里:古典舞踊をやるときは、決められた動き、決められた目線っていうのが決まっているんです。それを忠実に再現するのが古典の基本。創作に関しては独自で振り付けを考えたりもするんですが、古典ではそれが許されないんですよね。
CANAN:そうなんだ……、それは大変ですね。
NANAMI:自分たちは全く真逆で、自分をどれだけ表現するかが重要だったりします。自分のキャラクターをどこまでお客さんにアピールできるかが大事なんです。
NANAMI:あと、自分の個性をいかに出すかということを大切にしています。もちろん曲によって振り付けは決まっているんですけど、その中でいかに自分を出すかということがだいじかもしれない。今の自分の気持ちをアクションにするとか。
仲里:創作舞踊のときは、わたしもやってやろう! ってときはあるので、その気持ちは少しわかります。ただ、やりすぎてたまに怒られたりもするけれど(笑)。
伝統芸能は80歳でも現役!
CANAN:あと、どうして組踊は男の人ばかり出てくるんですか?
仲里:そもそも組踊は、中国や本土からの冊封使という役人を歓迎するためのものだったんです。そして踊り奉行というのがあって、それが琉球王朝の役職で、男の人しかそこで働いていなかったんですよ。だから、舞台には男性しかいないというのがルールなんです。当時は、女性は家を守るという役目があったから。
NANAMI:私は家を守るタイプにはなれない……。
CANAN:じゃあ私が家を守っとくよ(笑)。
仲里:いいコンビだね(笑)。
CANAN:あとやっぱり、伝統芸能って先輩後輩の上下関係は厳しいんですか?
仲里:当然ですけど礼儀にはやっぱり厳しいかな。あと、舞踊は一生をかけてお稽古と言われる程ステージ人生が長いんです。80歳でも素敵な舞踊家がいらっしゃいますよ。
NANAMI:80歳でも現役!! ダンス系は20代後半くらいまでで、30歳過ぎたら辞めちゃう人も多くて。体がついていかないっていって教える側に回るんですよ。そう思うと伝統芸能は長いですね。
仲里:そうなんです。それだけ、伝統芸能っていうものは脈々と受け継がれてきたものなのです。
CANAN:なるほど。今日はいろいろと話を聞いてとても勉強になりました。
NANAMI:今度は組踊や琉舞の舞台を観に行きます! また今度、案内してください。
仲里:はい。ぜひお待ちしています!
Information
2016年11月16日〜2016年11月19日まで、国立劇場おきなわにて、組踊鑑賞教室「執心鐘入」が開催! 詳細は以下にて。
Event
- 開催日
- 2016年11月16日〜2016年11月19日
- 開催時間
- 【11/16】開演14:00
【11/17】開演10:30 & 14:00
【11/18】開演10:30 & 14:00
【11/19】開演14:00 - チケット(入場料)
- 一般2,100円 団体1,600円 高校生以下1,000円
- 主催
- 国立劇場おきなわ
- イベント会場
- 国立劇場おきなわ
- イベント会場住所
- 沖縄県浦添市勢理客4-14-1
- 問い合わせ
- 098-871-3350 (10:00~17:30)
- イベントURL
- 普及公演 組踊鑑賞教室「執心鐘入」
Profile
WB
沖縄発ダンスボーカルユニット、WB。
17歳のNanamiと16歳のCananの二人からなるダンスボーカルユニットで県内のみならず県外でもライブで活躍中。2016年には「YATSUI FES.2016」に初参加。ファッションモデルとして幼少期より活動、CMや広告また女優としても活躍し、親しみやすいキャラクターと楽曲で、幅広い世代に受け入れられ、ファショニスタとして小中高生のカリスマ的存在に。2015年にリリースしたシングル「BABY BABY」のMusicVideoが、2016年夏現在まででYoutube再生回数が50,000回に届くまでに。Colorsモデル事務所所属。
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